おそいひと | 憂いのある音憑け

おそいひと





今日は休みで映画を観てきました。
普段色んな映画を休みの度に見てるので、いちいち日記なんかで書かないんだけど、この映画は皆さんに是非知ってもらいたいなと思って書きます。
現在東中野と渋谷(レイトショー)の2館だけの上映なんだけど、内容が凄いので公開に踏み切れる映画館がないのだそう。
というかもともと内容がショッキングなので3年間は日本で公開されてなかったという曰くつきの作品という・・・

主人公の住田は重度の脳性麻痺で電動車椅子で生活し、言葉も指でキーボードを叩いて音声を発する機械を使って会話をしなければならない。
介護士兼バンドマンのタケに介護をしてもらいながら生活をしている。

そこに女子大生が卒論の研究のために介護士としとしてやってきて、その子に住田は恋をする。

ここまではあり得る物語。

しかし、ここからが衝撃的。

「住田さん普通に生まれてきたかった?」

その女子大生の何気ない一言が彼を狂気の道に導き始めるのです。

「コ・ロ・ス・ゾ」

無機質なボイスマシーンの声で笑顔の住田が言い放つ。
そして彼は連続殺人を重ねていくのであった・・・

というのがあら筋なんだけど、まず障害者を殺人鬼として描くというテーマがそもそも驚愕。
でも、健常者と障害者の心の中は一緒なわけで、健常者に犯罪者はたくさんいて、障害者に犯罪を犯そうと思うような人が一人もいないというわけではない。
どちらも同じ人間だというのが恐らくこの作品の言わんとしてることかと。

モノクロで引いたり迫ったりの短いカメラワークで音楽がWorld's end girlfriendというのもスタイリッシュなのか狂気的なのか分らないけど衝撃的でした。
音楽はもうばっちり映画の雰囲気に合ってた。
子供のような無邪気さと凶器がWorld's~の音楽の世界観と映画の世界観というか住田の雰囲気に非常にマッチしていたという印象。

また、音楽繋がりだとバミューダ☆バガボンドのVoが介護士のタケの役をやっていたけど、それがとても良かった。
彼は今後も映画に出てもいいんじゃないかなと思うようなナチュラルな演技を見せてました。
ライブシーンもあったけど、まさか映画でバミューダ☆バガボンドのライブを見るとは思ってなかったし、まさかこの映画で!!??って感じではありましたが、障害者の方が激しい音楽を聴かないと決め付けるのも偏見であり、住田がライブでノッてるのを見た時は嬉しい気持ちになりました。

更に音楽繋がりで、売店にWorld's~のCDが売ってたんだけど帰りに50歳以上のおばさんがパンフレットと一緒にそのCDを買ってった時は泣きそうになりました。
自分の好きなCDを映画が懸け橋になって、しかも親と同じくらいの年の人が自分の意志で買っていくなんて・・・
でも帰ってから本当に聴くのでしょうか??
子供とか旦那さんはいきなりお母さんがこんなの聴き始めたらびっくりするか、スピーカーが壊れたと思うかCDが音飛びしちゃったと思うかいずれかだと思うけど・・・

とにかく画も音も内容もあまりにショッキングだけど、一見の価値ありですよ!!!

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=Sc15xw671Os